N響ドラゴンクエスト・コンサート~そして伝説へ 2024レポート

音楽

2024年5月6日 東京芸術劇場で開催された「N響 ドラゴンクエスト・コンサート ~そして伝説へ・・・~」に行ってきたのでレポートします。

コンサート概要

パンフレットより

「N響 ドラゴンクエスト・コンサート ~そして伝説へ・・・~」

  • 日時:2024年5月6日(月・祝)午後4時開演(開場3時)
  • 会場:東京芸術劇場(豊島区・池袋)
  • 指揮:下野竜也(N響 正指揮者)
  • 第1部:
    • すぎやまこういち作曲:交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁ー「序曲のマーチ」
    • エルガー作曲:組曲「子どもの魔法の杖」第1番ー「序曲」「メヌエット」「妖精と巨人」
    • すぎやまこういち作曲:交響組曲「ドラゴンクエストⅣ」導かれし者たちー「海図を広げて」「栄光への戦い」
    • ストラヴィンスキー作曲:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)ー「カッチェイ王の魔の踊り」「こもり歌」「組曲」
  • 第2部:
    • すぎやまこういち作曲:交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ・・・(1987年N響録音版・全曲)
  • アンコール:
    • すぎやまこういち作曲:交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁 ―「結婚ワルツ」

N響 ドラゴンクエストコンサートの魔法:伝説の音楽を体感!

パンフレットより

「N響ドラゴンクエスト・コンサート~そして伝説へ…~」に足を運び、すぎやまこういち先生の名曲をオーケストラで体感しました。チケットは即日完売、ファンの要望に応えてアーカイブ配信が決定するなど「ドラクエ音楽」の人気の高さが伺えます。

すぎやまこういち作曲 交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁ー「序曲のマーチ」 約2分

コンサートは交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁から「序曲のマーチ」で幕を開けました。トランペットの輝かしいファンファーレと行進曲が、冒険の始まりを告げます

ゲーム本編のオープニングを飾り、冒険の始まりを告げるファンファーレ的な曲調で知られています。

トランペットの華麗なソロで始まり、力強い金管楽器と軽快な木管楽器が織りなす旋律は、ワクワクするような高揚感を演出します。その後、弦楽器による美しいメロディーが流れ、壮大なスケール感を表現。冒険の旅立ちと、待ち受ける困難や希望を象徴しているかのようです。会場の一体感を肌で感じることができ、思わず涙が出てしまいました。

ドワード・エルガー作曲 組曲「子どもの魔法のつえ」第1番-「序曲」「メヌエット」「妖精と巨人」 約7分

今回のプログラムは「冒険」をテーマにオーケストラの名曲を集めた構成になっています。エドワード・エルガー作曲の組曲「子どもの魔法のつえ」第1番は、1907年に完成した全7曲からなるオーケストラ作品です。幼少時代の思い出や空想の世界を題材とした明るく軽快な曲調が特徴で、まるで絵本から飛び出してきたような色彩豊かな音絵巻です。

序曲

軽快なリズムと陽気なメロディーは、子供たちの冒険心をくすぐります。まるで、魔法の杖を手に取って、これから始まる冒険に胸を躍らせているかのようです。

メヌエット

優雅で上品な舞曲です。澄んだ音色と繊細な旋律が妖精たちの軽やかなステップを表しているよう。魔法の森の中で踊りながら遊んでいるような様子が目に浮かびます。

妖精と巨人

3曲目は、妖精と巨人の対決を描いた迫力満点の曲です。力強いリズムと重厚な和音が、巨人の威圧感を表現しています。一方、軽快な旋律と華やかな音色は、妖精たちの機敏な動きと魔法の力を表現しています。曲の後半では、巨人が倒され、妖精たちが勝利を収める様子が描かれています。妖精パートと巨人パートのコントラストが見事で、聞いていてとても楽しい楽曲でした。最後のシンバルが印象的です。全部持っていったな、と思いました。

すぎやまこういち作曲 交響組曲「ドラゴンクエストⅣ」導かれし者たち-「海図を広げて」「栄光への戦い」 約8分

ドラクエⅣの「海図を広げて」と「栄光への戦い」は、ファンの中でも特に人気の高い楽曲ではないでしょうか。この2曲をフルオーケストラで聴けるのは幸せです。

海図を広げて

船といったらこの曲ですね。「海図を広げて」は、ゲーム中で主人公たちが船に乗って新たな冒険へと旅立つシーンで流れるBGMです。DQ9,DQ11でも船のシーンで使用されています。冒頭部分の旋律を聞いた時、会場全体がまさに巨大な船と化し、観客全員が旅の仲間になる… そんな一体感を感じさせてくれます。すぎやまこういちさんは本当に偉大だ、と改めて敬意を表しつつ大海原での航海を堪能します。壮大で穏やかな海の情景が目に浮かぶ名曲は、やはりオーケストラバージョンが最高だと思いました。感動で思わず涙が・・・

栄光への戦い

ドラクエの戦闘曲と言えばこの曲しかない!というファンの方も多いと思います。勇猛果敢なメロディーと力強いリズムで、勇者たちの壮絶な戦いを表現しています。重厚感、疾走感、臨場感、緊迫感その全てが体中に押し寄せてきます。曲の冒頭から早いテンポで緊張感あふれる雰囲気が漂います。トランペットやトロンボーンなどの金管楽器が力強く奏でられ、戦場での壮絶な戦いが目に浮かびます。木琴の超高速演奏が凄すぎて目が釘付け状態です。会場にいた人、全員木琴奏者の方を見ていたんじゃないでしょうか。N響凄い。個人的には運動会のBGMで鉄板の「天国と地獄」にとって代わる名曲だと思っています。これが流れたら早く走れそう・・・ 

ストラヴィンスキー作曲 バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)-「カッチェイ王の魔の踊り」「こもり歌」「終曲」 約10分

不死身の魔王カッチェイ王にとらわれた王女を王子が救出→こもり歌が流れて魔王就寝→王子と王女めでたく結ばれる。こんな流れでしょうか。

カッチェイ王の魔の踊り

不気味な低音と鋭い金管の音色が織りなす、まさに魔王の出現を象徴するような不協和音が印象的です。カッチェイ王の狂気と残虐性を表現しているかのようです。不規則なリズムと混沌とした旋律は、聴く者に不安と恐怖を与えます。しかし、その中に潜む力強さは、カッチェイ王の圧倒的な存在感を表しています。

こもり歌

一転して、優美で穏やかな旋律が心を癒します。ゆったりとした幻想的な雰囲気を醸し出し、魔王カッチェイとその一味は眠りに落ちます。

終曲

クライマックスらしく勇壮で力強いメロディーで幕を開けます。魔法使いカッチェイ王を打ち倒し、勝利の喜びに溢れます。壮大で輝かしいフィナーレで王子と王女がついに結ばれます。バレエ音楽とあって、聞いていてストーリーがとても分かりやすいと思いました。

すぎやまこういち作曲 交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ・・・(1987年 N響録音版・全曲) 約38分

すぎやまこういちさんは、ゲーム音楽に求められるのは「聞き減りのしない音楽」だとおっしゃったそうです。1987年N響録音版「ドラゴンクエストⅢ」全曲は、すぎやまこういちさんの音楽的才能とNHK交響楽団の卓越した演奏が融合した、ゲーム音楽史における名作です。オーケストラアレンジにより、ゲームの世界観がより深く、より豊かに表現されました。ゲーム音楽が一過性の流行ではなく、持続的な芸術として認識されるきっかけとなったのです。

「ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ・・・
  1. ロトのテーマ
  2. 王宮のロンド
  3. 世界をまわる (街~ジパング~ピラミッド~村)
  4. 冒険の旅
  5. ダンジョン~塔~幽霊船
  6. 鎮魂歌~ほこら
  7. 海を越えて
  8. おおぞらをとぶ
  9. 戦闘のテーマ
  10. そして伝説へ

38分ノンストップの演奏でしたが、全く時間の経過を感じることがなかったです。多様なシーンに合わせたバリエーション豊かな楽曲で構成され、もっと聴いていたいと思わせてくれます。フィールドテーマの「冒険の旅」や、戦闘シーンの「戦闘のテーマ」、そしてエンディングの「そして伝説へ…」各曲が異なる感情と雰囲気を表現しており、2時間の映画を観たような満足感が得られます。個人的には「おおぞらをとぶ」の冒頭フルートの音色で涙腺崩壊です。あの瞬間、ラーミアに乗って空を飛ばせて頂きました。
エンディングの「そして伝説へ」ではまたもや冒頭のファンファーレで涙ドバドバです。何回泣いてるんでしょうか。長い長い冒険を振り返りながら、すぎやま先生と鳥山先生への感謝の気持ちが溢れてさらに涙が止まらない。演奏が終わった後は「ブラボー!」の掛け声と共に割れんばかりの大拍手です。

すぎやまこういち作曲:交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁 ―「結婚ワルツ」

やむことのない拍手に応えて、アンコールは「結婚ワルツ」です。ドラクエⅤの結婚シーンとエンディングにも流れる曲です。明るいワルツの調べに乗ってまさに大円団で夢のような時間が終わります。アンコールが終わった後も拍手がやみません。指揮者の下野さんがスコアを掲げ、すぎやま先生に敬意を表す姿に感動しました。

まとめ

小学生のお子さんもちらほらいらっしゃいましたが、客層の中心は40~50代だったと思います。自分もこの年代ですが、ピコピコ音の初代ファミコンで遊びつくした世代ですね。まさに夢のような1日でした。すぎやまこういち先生、鳥山明先生、N響楽団のみなさん、素晴らしい作品を残して下さりありがとうございました。時代を超えて語り継がれる作品とはまさにこのことではないでしょうか。100年後も色褪せることなくゲーム音楽史における名作として演奏されていることと思います。二人の偉大な先生と同じ時代に生きたことに感謝です。また演奏会があれば是非足を運びたいと思いました。

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました